永子の窓

趣味の世界

蜻蛉日記を読んできて(189)その2

2017年05月15日 | Weblog
蜻蛉日記  下巻 (189) その2  2017.5.15

「いらへわづらひて、はてはものも言はねば、『あなかしこ、きこえさせじ。いとかしこし』とて、爪はじきうちしていものも言はで、しばしありて立ちぬ。出づるに、『松明』など言はすれど、『さらに取らせてなん』と聞くに、いとほしくなりて、まだつとめて、『いとあやにくに松明ともの給はせで、帰らせ給ふめりしは、たひらかによときこえさせになん。」

◆◆ 私は返事に困って、しまいには物も言わずにいますと、「はなはだ恐縮です。ご機嫌を悪くしてしまいました。それでは今後は(仰せがない限りお伺いいたさぬようにいたします)まことに
恐縮です」と言って、不満そうにつまはじきをして、物も言わずにしばらくして座を立ちました。帰りに「松明を」と言わせましたが、「まったく受け取られないで」と言うのを聞きましたので、翌朝早く、「ほんとうにあいにくに、松明をとも仰せにならずにお帰りになりましたそうで、無事にお帰りになりましたかと、お伺いに◆◆



「『<ほととぎすまた訪ふべくも語らはで帰る山路の木暗かりけん>こそいとほしう』と書きてものしたり。さし置きてくれば、かれより、
『<ほふ声はいつとなけれどほととぎすあけてくやしき物をこそおもへ>
と、いたうかしこまり、給はりぬ』とのみあり。」

◆◆(道綱母の歌)「またの訪れの約束もなくお帰りになり、松明もなくてはさぞかし帰りの道はくらかったでしょう」と届けさせると、そのまま使いは手紙を置いて帰ってきて、あちらから、
(右馬頭の歌)「いつ訪れるとも申しあげませんでしたが、一夜明けた今朝は、昨夜のことをはなはだ後悔しております。」
とだけありました。◆◆

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