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「カジノ法案」は本当に必要なのか?

2017-05-15 | 政治・経済

「カジノ法案(IR整備推進法案)」は、昨年12月15日未明、衆院本会議で可決・成立した。

今後は、ギャンブル依存症対策を検討していくことになっています。

 

安倍政権は、カジノ自体が目的というよりは、お金を使わせたいのだと思うのです。タンス預金も含めて、何とかして預金を引っ張り出させ、消費させたいのでしょう。

 

昔からよく言う、「江戸っ子は、宵越しの金は持たねえ」という感じのことを、現実経済のなかでやらせたいというのが、安倍政権がこの法案を出した主目的だと思います。「国民がお金を使いさえすれば景気はよくなるのだ。

 

ところが、預金を持っているのに、みな、なかなか使わない。企業は利益が出ても内部留保をして投資には使わないし、人件費にも使わないで、そのまま持っている。これはけしからん」ということで、何とかして“引きずり出そう”としているわけです。その方法の一つとして、カジノの推進をやろうとしているのだと思います。

 

もちろん、マカオやアメリカのラスベガスなど、ほかのところにもカジノはあるので、「海外にまで行ってお金を落とすぐらいなら、国内で落としてくれ」という考え方も分からないことはありません。あるいは、「海外の客を日本に呼び込める」という面でのメリットもあることはあるでしょう。

 

また、安倍首相自身は2014年にシンガポールを視察したことがあり、「カジノと言っても、床面積は全体の3パーセントぐらいしかなくて、それ以外は統合リゾートでいろいろと遊べるような施設がある。家族で遊びに行けるのだからよいことだ」という言い方をしていたようです。

 

ただ、ここには倫理的な問題点が一つあります。安倍首相は勉強していないのかもしれませんが、法学部で法律を勉強した人ならば見知っていることとして、刑法には賭博罪があるわけです。あるいは、賭博場開帳等図利罪(刑法第186条2項)もあります。

 

要するに、自分が賭博をしなくても、自宅の部屋を開放して、そこで自由に賭けマージャンをした場合、場所を貸した人も賭博を開いた人も有罪なのです。もちろん、実際に賭けマージャンをした人も有罪になります。それにもかかわらず、個人で行なえば有罪のことが、政府や自治体がすればまったく罪がなくなるのかということです。

 

なかには、マッチ棒やチューインガムを賭けるというところで我慢する人もいるとは思いますが、実際にはそういうことでは済まないでしょう。

 

例えば、会社では、野球などで「賭け」をやっているところもあるでしょう。「どこがどこと戦って、何対何で勝つか」という感じで賭けをやっているわけです。実際上は、やっている人も大勢いるものの、「警察に見つかることもなければ、まず逮捕にはならない」ような範囲でやっていると思います。

 

ただ、野球であろうがマージャンであろうが、お金を賭けてやったものは、いちおう刑法上は賭博罪あるいは賭博場開帳等図利罪などが発生する問題であり、それは「倫理的によくないから」ということになっているわけです。

 

もちろん、「個人の経済的自由だ」「自分の金を賭けて損して何が悪い」という考え方からすれば、別に構わないではないかということも言いうるので、ことさらそれを問う必要はないものなのかもしれません。しかし、それが刑法罪になっているということは、「人間を堕落させて誘惑し、家庭を破滅させたり事業を破産させたりする傾向がある」ということかと思います。

 

 

倫理的な観点で考えれば、要するに、そういうことをやっていると、人間は怠惰になるだけでなく、射幸心も出てきて、そういう無駄なものにお金をつぎ込み、勤勉に働かなくなる傾向が出てくるので、昔からあまりよくないことだと言われているわけです。

 

賭博は、ささやかなものには目こぼしもあって、非常に微妙なところではあるのですが、「それが個人にとっては悪いとされることでも、公になれば構わない」というのでしょうか。

 

もちろん、個人で殺人をすれば犯罪ですが、刑務所の看守が判決に基づいて死刑を執行することは、殺人罪には問われません。そういうものはあるけれども、それが賭博ということになると、本当に罪に問われないのかどうかということです。

 

例えば、競馬や競輪、競艇などは公営でもやっていますが、そういうもので身を持ち崩した人はいくらでもいます。やはり、のめり込んだら麻薬のように抜けられなくなるところがあるわけです。

 

そういうことから考えると、おそらく「カジノ法案」も、個人がとにかく消費をしないようにと大切に持っているお金を使わせるためのものでしょう。「統合型リゾート」と称して、家族で遊びに行けるところのように説明していますが、金儲けができるかもしれないゲーム機械がたくさん並んでいるところに行けば、子供は“子供の遊び”をして、大人は”大人の遊び“をするだろうと思います。そうしたことを狙って、お金を使わせようとしているわけです。

 

政府が“あの手この手”で国民に消費させようとしていることや、景気対策をやりたいという気持ちもよく分からないわけではないのですが、根本的に、どうも、他人の懐、財布、預金通帳の中身を引きずり出して使おうとする傾向を感じるものがあって、すっきりしません。

 

やはり、私は筋を通したほうがよいのではないかと思うのです。個人の罪のほうを放置して、公のほうがそれを推進するのは、バランスを欠いているのではないでしょうか。そこには、違法性を阻却する、要するに「違法ではない」とするだけの根拠がありません。公がカジノをしたとしても、個人の破滅につながる恐れがあることでは同じだからです。

 

「公でやっているものであるならば破滅しない」というなら分かります。公営のカジノで全財産を取られたとか、家を売らなければいけなくなったといった不幸が起きるようなことになった場合には、公的資金が投入され、その借金が相殺されるというのであれば、わからないことはありませんけれども、やはり、破滅はするのでしょう。

 

これにはまった人は破滅に向かうことが少なからずあるだろうことを考えるならば、税収の一部にはなるのでしょうが、喜んで参加したいというほどの気持ちにはなりません。

 

政府の、「ラスベガスやマカオでお金を取られるぐらいなら、こちらで取りたい」「外国人を呼び込みたい」という気持ちも分かるけれども、日本にカジノを開いたら、多少、海外から、たちの悪い人々が来る恐れは強いでしょう。要するに、マフィア系の人たちが入ってきて、暴力団の資金源等になるリスクは非常に高いと思われるのです。

 

また、それとともに、麻薬等とも関連してくるでしょう。そういう人々が麻薬を持ち込んできたり、それで儲けたお金のマネーロンダリングの場として使われる危険性も極めて高いと考えられます。そのお金をカジノで使うことによって、分からなくしてしまうことも出てくるだろうと予測されます。

 

いずれにしても、麻薬のところも、日本では今、水際作戦で入れないように努力しているのでしょうけれども、カジノができれば、何らかのかたちで扉が開いてくるのではないかという気がしています。

 

「トータルでそういう部分があってもよい」という見切りがあるなら、それも一つでありますが、あまりにも性急に進めているのを見ると、「要するに消費促進法案なんだな」ということがよく分かります。あるいは、“浪費促進法案”ということなのかもしれません。「もう貯金を持つな」と一生懸命に言っているように見えてしかたがないのです。

 

しかし、国民が貯金を持ちたがる理由は、経済の先行きに対して楽観的な見通しを持っていないからであり、企業が設備投資に気が向かなかったり、あるいは、利益をすぐに賃金に反映しなかったりする理由もまた、先行きを見越してのことであるからです。

 

この点、「自分の政権の間だけ景気がよくなればよい」というように見ているのであれば、やはり、やや、政策的に一貫性が足りないのではないでしょうか。

率直に言って、日本にいろいろなカジノが大々的なかたちでできてくるということ自体に、私はあまり賛成ではありません。

 

これは、おそらく、国民の堕落傾向を招くでしょう。また、コンピュータ社会になって、いろいろなものがゲーム感覚でできるような時代になってきているので、相性はそう悪くはないのかもしれませんけれども、結局、静かに本を読んだり考え事をしたりするような人が減っていくのではないかと思うのです。あるいは、「労せずしてお金が儲かった」というような話を聞くことで誘惑されることも多くなるのではないかという気がしています。

 

私は、国民を堕落させる傾向のある法案を、「選挙が近くない今のうちに通してしまおう」という感じで拙速に進めてしまったことに対しては、どうしたものかと考えていますし、その結果、暴力傾向のある国民の増加や、そういう外国人の流入、また、それに伴って起きるであろう麻薬問題等に飛び火していくのは、非常に残念なことだと考えています。

 

このことについて十分な議論がなされずに、スピード採決したことに、やはり一定の疑問があるのです。

 

---owari---

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