徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」―沖縄の離島を舞台に自然と音楽によって紡がれる人間讃歌―

2017-04-05 16:00:00 | 映画


 沖縄・那覇市から40キロ離れた慶良間諸島を舞台に、音楽が人々の心をつなげていく物語だ。
 故・新藤兼人監督を祖父に持つ、新藤風監督前作「転がれ!たま子」(2005年)に次いで、11年ぶりに手がけた作品だ。
 劇映画としては、彼女の3作目にあたる。

 人と人が家族を作り、社会が形成される。
 その過程で生じる調和や不調和を、自然や音や音楽を通じて表現していこうという試みが見られる。
 時間がゆったりと流れる中で、いかにも手触り感いっぱいのトーンが、映画を優しい再生物語に仕上げている。



沖縄・慶良間諸島・・・。
小学生うみ(伊東蒼)は耳が良すぎて、少しでも音のズレを感じると頭痛がしてくるのだったが、三線(さんしん)の名手であるおじい(金城実)と二人で暮らしていた。
だが耳のせいで変わり者扱いされ、うみは那覇に住む母(山田真歩)や友達との関係に悩んでいた。

ある夏の日、島でコンサートが開催されることになって、都会からヴァイオリニストの祐子(安藤サクラ)がやって来る。
うみは祐子と出会い、フルートを練習し、吹奏楽部に参加することで、少しずつ頑なに閉ざされていた自分を解放していく。
祐子もまた、島の元漁師でサックス奏者の真栄田(渋川清彦)やおじい三線に触れ、都会で荒んでいた心を取り戻していくのだった。
祐子の訪れがうみに変化をもたらし、さらには島の人たちもそれぞれの悩みや問題を乗り越えていく。

清らかで美しい島々の自然と音楽が、人と人をつなぎ、自分に向き合う力を与えてくれる。
全体として大きなドラマは起きないが、それぞれの場面で登場人物たちが交わす会話や行動がもとで、静かなさざ波が立つ。
そして、みんなの心境が微妙に変化していく、ひと夏の物語である。
誰よりも変わっていくのは少女うみで、はじめは傷つきやすく周囲に固く心を閉ざしていたが、音楽によって少しずつ心を解放していくようになる。
うみ役の子役の伊東蒼(あおい)は、素直で情感豊かに暗示に富んだ演技を披露している。

過剰な表現もないし、慶良間の風物と現地の人々の中に、俳優陣も上手く溶け込んで、ちょっぴり味わい深い作品となった。
新藤風監督は、うみの境遇に自身の親子三代のそれぞれの思いを重ねたのだ。
楽器を一から猛特訓した子供たちの演奏も、作品の見どころのひとつとなっている。

タイトルの「島々清しゃ」は、沖縄出身の普久原恒勇の楽曲で、沖縄に住む人たちが自然に感謝しながら日々を営んでいる様子が歌われる。
“清しゃ”とは“美しい”という意味だそうだ。
新藤風監督のこの映画「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」は、商業ベースに乗るような作品ではなく、また大人向けとしては少し弱いかも知れない。
ただ、作品を通じてじんわりと伝わってくる感じは捨てがたいものがある。
        [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
沖縄諸島は (茶柱)
2017-04-06 00:21:02
意外と広いですからね。島によっては九州よりも台湾に近いほど。
沖縄諸島には・・・ (Julien)
2017-04-09 12:26:27
本州とはまたかなり違った文化や風習が、根付いていますからね。
大いに興味が持たれるところですね。

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