徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「ロング・トレイル!」―本当の自分を見つけようといつか夢見た青春の山旅―

2016-10-11 04:00:00 | 映画


 人生は旅であり、旅は人生だ。
 この作品は、ある実話をもとに描かれる、人生応援歌である。

 森の濃い緑、獣の呼びかけ、行き交うハイカー、隣人や仲間との語らい・・・。
 ロング・トレイルとは、どこまでも歩く旅を楽しむ道のことで、登山ではない。
 登山道もあるけれど、自然散策路、遊歩道、里山などをつないで、地域の自然や文化に触れ、宿泊などもして、3500㎞もの長い一本道を進むのだ。

 この映画の舞台は、アメリカ東部全14州をひたすら歩き続ける、アパラチアン・トレイルだ。
 米国三大トレイルのひとつで、3500㎞といえば、日本の九州から北海道までの距離に相当する。
 アメリカのこの人気コースを、名優ロバート・レッドフォードとアウトローが似合う個性派ニック・ノルティが挑む総延長3500キロである。
 しかしそれは、ゴールのない旅に等しく、ケン・クワピス監督ノンフィクション作家ビル・ブライソンの原作を得て、いくつもの弾けるような笑いに満ちた、愉快なスリル満点の映画を作り上げた。

 

紀行作家のビル(レッドフォード)は、長年暮らした英国から米国へ戻り、妻キャサリン(エマ・トンプソン)と、セミリタイアに近い生活を送っていた。

あるとき、平穏な日常に物足りなさを感じた彼は、ふと自分の家の近くを通る北米有数の自然歩道“アパラチアン・トレイル”3500㎞の踏破を思いつく。
妻を安心させるため、旅の相手を募ったところ、ただ一人現われたのは、長年音信不通だったワケありの旧友カッツ(ノルティ)だった。

期待と不安を胸に二人は出発する。
しかし、意気揚々とスタートするまではよかったが、大自然の驚異と体力の衰えという現実が、彼らの前に立ちはだかる。
やがて、彼らの波乱の冒険は、思いがけない“心の旅”へと進路を変えていく・・・。

人生の終焉を意識し始めたシニア世代の二人が、大自然の驚異に直面しながら見つけたものは何だったか。
見た目も性格も正反対な二人が、助け合って、数々の困難を乗り越えていくうちに、いつしか心を通わせていく。
この二人が、心を開いて語り合うシーンがいい。
「旅は人生と同じ、ベストをつくせばいい。」
それが、出発時の二人の誓いだった。

ケン・クワピス監督はコメディドラマの名手で、俳優を絶妙に配置し、登場人物の人間らしさを最大限に引き出している。
二人に襲いかかる予測不可能な危機・・・。
彼らは、この長い旅路を歩き通せるのか。
3500キロの完全踏破は難しくても、美しい大自然を舞台に、自分らしく生きるヒントや明日への活力を見つけることができる、爽快なドラマだ。

初老の男二人の旅は、吹雪や熊、滑落など、いたるところで自然の驚異に遭遇する。
名優二人のかっこよさも渋みもたっぷりだが、ずっこけぶりもユーモラスで笑わせる。
友情と人生の黄昏の共感が生まれる。
軽妙洒脱な、自然への敬意も込めて作品はやや贅沢な作りに、正反対な友人二人を演じた、名優二人の掛け合いと珍道中に笑いは尽きない。
アメリカ映画「ロング・トレイル!」は、今年80歳のロバート・レッドフォード75歳のニック・ノルティ、この人間臭い二人のオヤジが自身の半生を振り返るような役柄を好演し、老体に鞭打って笑わせてくれる。
製作にも立ち会ったロバート・レッドフォードだが、2002年に原作と出会って、完成まで13年の歳月を費やしたといわれる。
人生応援のヒューマン・ムービーである
       [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点
次回は日本・フランス合作映画「淵に立つ」を取り上げます。

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2 コメント

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最近 (茶柱)
2016-10-11 22:57:00
日本でもそうですが、年配男性俳優の活躍が注目を浴びていますね。
人によってはオッサンなどといったりしますが、彼らベテランの活躍は、世界的にもエンターテインメント業界のカンフル剤となっているようで。
オッサンでも・・・ (Julien)
2016-10-15 12:38:54
渋みの増した老優は、いいじゃないですか。
日本でも、世界でも。
俳優はやはり、生涯現役でいいのです。
役者をやれるうちです。
老いたりといえども、若手にはまねのできない、ベテランの味ですもの。

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