徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「パーソナル・ショッパー」―女の秘めた欲望が華麗な禁断の扉を開くとき―

2017-07-12 16:00:00 | 映画


 「夏時間の庭」(2008年)、「アクトレス~女の舞台~」2014年)フランス鬼才オリヴィエ・アサイヤス監督が、今年一番の話題作といわれる作品で、昨年カンヌ国際映画祭監督賞受賞した。
 大胆にして斬新で、しかも挑戦的な異色作だ。

 孤独と喪失からの人間の再生の物語ともとれるが、死者からのメッセージを待つ女性に起きる不可解な出来事を描いている。
 超常現象の描写については、にわかには受け入れがたいが、見えざる世界との接点で殺人事件に巻き込まれていく女性のドラマは、どきどきするほどサスペンスフルだ。
 だが、この作品について総じて言えることはやはり不可解ということか。



パリで、モウリーン(クリステン・スチュワートは多忙なセレブ(著名人)に変わって服や装飾品を買い付ける「パーソナル・ショッパー」の仕事をしている。
彼女は依頼人の自宅の鍵を渡され、衣装を届けるために出入りすることを許される。
モウリーンはこのところ、キーラ(ノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン)というクライアントに振り回されていた。
キーラは世界中を飛び回っているため、指示は一方的なメモばかりだった。

3カ月前、双子の兄ルイスの急死で、モウリーンは悲しみから立ち直れず、彼が住んでいたパリを離れたくなかった。
二人は、先に死んだ方がサインを送ると誓い合っていて、モウリーンはそのサインが来れば、新しい人生を始められると信じていた。
そんなある日、彼女のもとに正体不明の謎めいたメッセージが届く。
モウリーンが、メッセージはルイスからのサインではないかと疑い始めた頃、ある殺人事件が・・・。

主人公モウリーンの、もうひとつの顔は霊媒師だ。
いわゆるホラーではないが、心霊現象がたびたび描かれる。
それが亡くなった兄からのサインなのかどうか、彼女にはわからない。
モウリーンは「パーソナル・ショッパー」をしているうちに、いつしか自分もセレブの衣装を着て、別人になりたいと思うようになる。
でもそれは、職業上固く禁じられた行為だ。
しかし彼女は、自身の秘めた欲情が刺激され、禁を犯し、セレブの服を着て性的興奮を覚えるのだ。
この作品では、ファッショナブルな衣装も見所のひとつだろう。

主人公の感得する、いわゆる心霊現象なるものと、彼女が別人になりたいという隠れた欲望の部分とは、とくに整合性もない。
それでいて、主人公は殺人事件に巻き込まれていく。
どうしてそんなことになったのか。
事件の経緯も、心霊現象の意味も、謎の人物の正体も一切明らかにされず、全てが曖昧なままに終わってしまうのだ。
モウリーンは日常を何者かに監視され、内なる変身願望を刺激されて、危うげなスリルと魅惑の息づく映像世界でもがいている。
そこに漂っているのは、喪失感と大いなる不安だ。

オリヴィエ・アサイヤス監督フランス映画「パーソナル・ショッパー」は、不可思議な作品である。
何が現実で、何が妄想なのか。
ヒッチコック風の結末ともに衝撃のラストシーンを含めて、この心理ミステリーには様々な解釈が成り立つだろう。
この作品が、大切な人を亡くした女性が自分を再建していく物語たりうるのだろうか。
それにしても、「トワイライト」シリーズ(2008年~)、「スノーホワイト」(2012年)、「アリスのままで」(2014年)と順調に映画のキャリアを積んできた、主演のクリステン・スチュワートはなかなか陰影に富んでいて魅惑的だ。
アサイヤス監督は言う。、
「映画は答えではなく、問いかけであるべきだ」・・・。
      [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点
次回はアメリカ映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」を取り上げます。

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2 コメント

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ホラーじゃないのに (茶柱)
2017-07-13 23:42:05
霊媒と殺人ですか・・・。
なんとも想像の斜め上にいくというか。
そうなんです・・・ (Julien)
2017-07-15 12:46:00
タテ、ヨコではないのですね。
想像の斜め上、ですか。上手いことを言いますねえ。
まあ、現実離れの、よくわからないお話です。
監督さんも、あとはよろしくなんて、観客に丸投げしているみたいで・・・。どうもねえ。
困りますが、これも‘映画’なんですね。

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